シアトルの山岳ガイドであるDon Wargowskyさん。彼が率いるチームに野良犬メラが加わったのは、ひと月にわたる厳しい旅の10日目のことでした。偶然に出会った一匹の孤独なメスの野良犬と登山隊。ヒマラヤ登山という過酷な挑戦の中で育まれた愛と信頼。映画になりそうなストーリーです。
メラ・ピーク(6,476m)登頂後に出会ったからメラちゃん。野良犬メラちゃんがWargowskyさん達と一緒に行こうと決めた地点はすでに標高5,300m。そんな富士山のてっぺんより遥かに高い場所にワンコがいるだけでも私たちには驚きなわけです。メラちゃんは達はそこから標高7,162mのバルンツェの頂上を目指しました。
「野良犬が登山チームについていったら、そのまま山頂を制覇しちゃったよ」なんて聞くと、私たち一般人は何となくファンタジーのようにルンルンと頂上を目指す人とワンコを想像してしまいがちですが、調べてみると超過酷!
人も動物も簡単に命を落としてしまう世界。メラちゃんと Wargowskyさんたちの旅の間でも命の危険にさらされる場面が…。
こちらはDon Wargowskyさんのフェイスブック。3月7日に”The stray dog that climbed Baruntse with me” (私と共にバルンツェを登った野良犬)という96枚の写真が公開されました。
かわいいんです。バルンツェ登頂を成功したのでメラちゃんは今「バルちゃん」に改名されています(笑)この旅についての詳しい記事はOutside.comをチェックしてください。
https://www.outsideonline.com/2390456/first-dog-ascent-baruntse-nepal
バルちゃんの犬種としては現地のチベタン・マスティフとヒマラヤン・シープドッグの混血だろうと言われてるそうです。チベタン・マスティフもヒマラヤン・シープドッグも現地では色んな見た目の子がいますが、犬種で画像検索してみると似ている子の写真も出てきますね。カシミール・シープドッグの中にも似てる子がいるかもしれません。
「猫は瞬発力、犬は持久力」と言うように、犬は普通の犬でも肺が大きく心臓も丈夫ですが、高山で暮らす犬はスケールが違いますね。富士山よりも高い場所で当たり前に暮らせるのですから。
低酸素な環境に慣れてない私たちでは2,500mを超えたぐらいから簡単に高山病を起こしてしまいます。5000~7000m級…う~ん、いるだけで死んでしまいそう(笑)。足も強いんですよね。バランスの取れた4本足にズングリした肉球。滑りにくい太くて丈夫な爪。マウンテンドッグに興味津々です。
やっぱり人と犬は特別。
出会って数日で、この人たちと一緒にいたいと決めたメラ(バル)ちゃん。どうして登山隊と一緒に厳しい山を登ろうと思ったのでしょう。「おいしいエサをもらえるから?」それだけでは人と他の動物はこんな風に旅はできません。
コンラート・ローレンツの「人イヌにあう」。

人イヌにあう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
メラちゃんとWargowskyさんは出会ってしまったんです。